大人のいない世界

そうだよ、大人の世界はあるんだよ。

ずっとずっと、大人の世界なんて嘘だと思っていたけれど………。

広汰おにいちゃんが、私達を裏切るような、傷つけるようなこと、するはずがないんだもん。


だけど………怖い。


もし、もしも………。



本当に、私の考えていたことが合っていて………今まで十六歳だったみんなが殺されていたとするのなら…………。


ナナが、殺されてしまう………………。



そんなこと、もうありえないと私の中で決着はついたはずなのに、それなのに、どうしてもそのことばかりを考えてしまう。


「杏奈………?」


そんな私のようすに気がついたのか、ナナが心配そうに私の名前を呼んだ。


「どうしたの?

具合悪いの?」

「ううん、そうじゃないよ。

もう夜も遅いし、寝よう」


そう言って、私は部屋の電気を消して、布団を被って目を閉じた。