図書室で広汰おにいちゃん達に会って、私はあることに気付いた。

大人の世界があるということが嘘ならば、それは広汰おにいちゃんが嘘をついているということ。

そして、私達子どもを騙していることとなる。


大好きな広汰お兄ちゃんを疑うこととなるのだ。


大人達の鎖でがんじがらめになっていた子ども達を助けてくれた広汰おにいちゃん。


彼が、大人に成長していた人達を殺していくなんて……そんなこと、あるわけがない。


よく考えれば、わかったことなんだ。


私の考えは、正しくなかった。

美佳ちゃんのことは、幻だったんだ。


あの割れた窓ガラスも、部屋に広がっていた血も、全部嘘だったんだ。


私は、ナナの家に戻った。