大人のいない世界

「ところで、福也君はどうして公園に来たの?」

「ん、別に。

なんとなく、来てみただけだよ。
特に理由なんてない」


「そっか」


「そういえば、今日広汰君に会ったか?」


福也君がたずねてきた。

「広汰おにいちゃん?
会ってないけど、なんで?

それも、なんとなく?」

「いや、なんとなくじゃないよ。

でも、理由をたずねられたら、ちょっと困るかなぁ」

「ふうん?」


福也君の言葉の意味がよくわからなかった私は、適当に流した。


「どこにいるか、知らないか?」


「う~ん…私はわからないけれど……。
鈴(スズ)ちゃんなら知っているんじゃないかな?」