「理沙」
奏人の声に、メニューから顔を上げると、優しさが滲む瞳と視線が合う。
「好きなの注文しろよ」
奏人の発言は、私が値段を気にしていることを察してのことだろう。
ご馳走してくれようとしているんだ。
「自分の分は払うよ」
私だって働いてるんだから。
節約はしているし、二千円のランチはキツイけど、人にたかろうとは思わない。
でも、奏人は駄目だと首を横にふる。
「なんで? 付き合ってる時だって割り勘が多かったじゃない」
「俺は理沙の分も払いたいんだよ。それが出来ない時も有ったけど、今は出来るから」
「私の分を払いたいって、どうして?」
「理由なんてない。俺が好きな女に財布を出させたくないタイプなだけ」
“好きな女“なんてストレートに言われ、私は反論出来なくなり目を伏せた。
最近の奏人は躊躇いなく好意を伝えて来て、私の方が戸惑ってしまう。
恥ずかしいし、返事のしようがないから。
結局奏人に言い負けて、ランチは奢ってもらうことになった。
遠慮するなと言われて、お昼からウニのクリームスパゲティのセット。
凄く美味しくて、幸せな気持ちに浸る私に、奏人は嬉しそうにいろいろ話しかけて来る。
仕事のことや、実家でのこと。
私も、自然と笑いながら返事をする。
そうしていると、まるで何も知らずに奏人を好きだったときに戻ったような気持ちになった。
目の前に座っているのは、華やいだ雰囲気に溢れるイケメンバージョンの、私の見慣れない奏人なのに。
素朴だった頃の彼と、今日は重なって見えるから不思議だった。
奏人の声に、メニューから顔を上げると、優しさが滲む瞳と視線が合う。
「好きなの注文しろよ」
奏人の発言は、私が値段を気にしていることを察してのことだろう。
ご馳走してくれようとしているんだ。
「自分の分は払うよ」
私だって働いてるんだから。
節約はしているし、二千円のランチはキツイけど、人にたかろうとは思わない。
でも、奏人は駄目だと首を横にふる。
「なんで? 付き合ってる時だって割り勘が多かったじゃない」
「俺は理沙の分も払いたいんだよ。それが出来ない時も有ったけど、今は出来るから」
「私の分を払いたいって、どうして?」
「理由なんてない。俺が好きな女に財布を出させたくないタイプなだけ」
“好きな女“なんてストレートに言われ、私は反論出来なくなり目を伏せた。
最近の奏人は躊躇いなく好意を伝えて来て、私の方が戸惑ってしまう。
恥ずかしいし、返事のしようがないから。
結局奏人に言い負けて、ランチは奢ってもらうことになった。
遠慮するなと言われて、お昼からウニのクリームスパゲティのセット。
凄く美味しくて、幸せな気持ちに浸る私に、奏人は嬉しそうにいろいろ話しかけて来る。
仕事のことや、実家でのこと。
私も、自然と笑いながら返事をする。
そうしていると、まるで何も知らずに奏人を好きだったときに戻ったような気持ちになった。
目の前に座っているのは、華やいだ雰囲気に溢れるイケメンバージョンの、私の見慣れない奏人なのに。
素朴だった頃の彼と、今日は重なって見えるから不思議だった。

