別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

「滝島課長に俺のことで何か言われても理沙は何も答えなくていい。知らないふりをしているんだ。言われた内容は直ぐに俺に報告して」

「う、うん……」

予想以上に滝島課長を警戒する奏人に戸惑いながらも、私は言われたまま頷く。

ふたりの仲はかなり険悪なのかな?

考え込んでいると、奏人が私との距離を詰めて来た。


私はドアに背を向けて発っているから、後ろに下がれない。

そのため、ドアと奏人に挟まれるような、逃げ場がない状態になる。

「奏人?」

焦った声を出すと、それまでの強張った雰囲気から一転した甘い声が降りて来た。

「今日は本当に嬉しかった」

「え、何が?」

それよりも、怒ってたんじゃないですか?

切り替えの早さについていけない。

それに、無駄に男の色気を振りまくのも止めて欲しい。

なんとか距離を置こうとするも、奏人の腕によってあっさり防がれてしまう。

動揺する私の前で、奏人は極上の笑みを浮かべる。

つい見惚れていると、奏人は私の耳元に顔を近づけ囁いた。