別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

私は気まずさを誤魔化す為に、飲み物のお代わりを注文した。

こんな時は少し酔いたい。

「あまり飲みすぎるなよ」

奏人がすかさず釘を差してくる。

「大丈夫だよ」

恥ずかしさから素っ気無い返事をする私に、奏人が色気溢れる笑みを浮かべて言った。

「まあいいか。酔っ払ってフラフラになったら俺の部屋に連れて帰るから」

「な、何言ってるの!」

やっぱり、奏人的には同僚じゃなくなったようだ。
いや……元々かも。さっきだって凄く自然に抱きしめられたし。


私は優柔不断でまだどうしていいのか決められない。

だけど、散々泣いて正直な気持ちを話したからか、気分はとてもすっきりしていた。

あのプロポーズの日以来、初めて気持ちが楽になったような気がする。