「……理沙を騙すつもりは無かったんだ」
「一年も付き合っていたのに名前まで違っていたなんて、詐欺としか思えませんけど」
奏人の口から気まずそうに吐き出された言葉に、すぐさま言い返した。
奏人はピクリと肩を震わせ顔を上げる。
「詐欺なんかじゃない! 俺はこの先も理沙と一緒に居たいと思ってる。プロポーズだってしただろ? 理沙だって受け入れてくれたじゃないか! あの時、嬉しいって言ってくれたのは嘘だったのか?」
聞き捨てならない言葉に、私は声を荒げて反論する。
「私は奏人みたいに嘘なんて言わない! ……あの時は本当に嬉しかったから、嬉しいって言ったんだよ。奏人に騙されているなんて知らなかったから」
「……俺が嘘を告白した途端に理沙は気持ちが変わってしまうのか? 俺達はその程度の付き合いだったのか?」
「その程度って……奏人の嘘は許せるレベルじゃないでしょ? 奏人の事は本当に好きだった。でも、私が知っていた事の殆どが偽りだったんだよ? 私はもう奏人の事を信用する事が出来ない。別れるのに充分な理由だと思うけど」
私にとって、奏人は今迄好きになった人の中でも一番で、特別な存在だった。
心から信頼していた。だからこそ裏切りが許せない。
私がはっきりと別れの言葉を口にしたからか、奏人は黙り込んでしまった。
私も何も言えないでいると、奏人が小さな溜息を吐き、それから私を見つめて来た。
「一年も付き合っていたのに名前まで違っていたなんて、詐欺としか思えませんけど」
奏人の口から気まずそうに吐き出された言葉に、すぐさま言い返した。
奏人はピクリと肩を震わせ顔を上げる。
「詐欺なんかじゃない! 俺はこの先も理沙と一緒に居たいと思ってる。プロポーズだってしただろ? 理沙だって受け入れてくれたじゃないか! あの時、嬉しいって言ってくれたのは嘘だったのか?」
聞き捨てならない言葉に、私は声を荒げて反論する。
「私は奏人みたいに嘘なんて言わない! ……あの時は本当に嬉しかったから、嬉しいって言ったんだよ。奏人に騙されているなんて知らなかったから」
「……俺が嘘を告白した途端に理沙は気持ちが変わってしまうのか? 俺達はその程度の付き合いだったのか?」
「その程度って……奏人の嘘は許せるレベルじゃないでしょ? 奏人の事は本当に好きだった。でも、私が知っていた事の殆どが偽りだったんだよ? 私はもう奏人の事を信用する事が出来ない。別れるのに充分な理由だと思うけど」
私にとって、奏人は今迄好きになった人の中でも一番で、特別な存在だった。
心から信頼していた。だからこそ裏切りが許せない。
私がはっきりと別れの言葉を口にしたからか、奏人は黙り込んでしまった。
私も何も言えないでいると、奏人が小さな溜息を吐き、それから私を見つめて来た。

