別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

「まあいいわ。中瀬さんも頑張ってフォローしていたしね。仕事が成功するのは嬉しいものね」

「……松島さんは仕事が好きだったんですね」

「あら、意外?」

「えーと……」

意外だけどはっきり言うのは憚られていると、松島さんは皮肉に笑って言った。

「中瀬さんは正直ね顔に出てるわ」

「……すみません」

「いいけど。私ねこれからは自分の好きに仕事をしようと思ってるの。滝島を追放した後だけどね」

「つ、追放ですか……」

物騒すぎる言葉に、つい辺りを見回してしまう。

「大丈夫、いないわ。でもあいつがいなくなったら新しい気持ちでやり直せる気がするの。私の為にもさっさと視界から消えて欲しいわ」

松島さんは、いまだに瀧島課長が許せてないんだ。

されたことを考えれば無理は無いかもしれないけど、でも本人に直接文句を言ったのが良かったのか、以前より生き生きしているように見える。

「そろそろ仕事に戻るわ」

前とは大違い。松島さんはコーヒーを買いに行くこともせずに、自分の席に戻って真剣な顔で仕事を始めた。