別れたいのに愛おしい～冷徹御曹司の揺るぎない独占愛～

「た、滝島課長。ご迷惑をおかけして本当に申し訳有りませんでした。今後は気を引き締めて仕事に集中しますので、これからも営業部の仕事をさせてください」

顔がひきつらないように頑張り、なんとか笑顔を浮かべて訴える。

だけどそんな私の努力を、滝島課長はあっさり壊してしまう。

「まさか私にまで色目を使って来る気か？　無駄だから止めなさい」

はい？

作り笑いも凍りついてしまったその時、奏人の怒りも爆発した。

「黙れ。それ以上理沙を侮辱することは許さない」

がたりと立ち上がり奏人が宣言する。

私は衝撃のあまり、呆然と奏人を見ることしか出来ない。

だって今、黙れって言ったよね？

滝島課長に「黙れ」って……ああ、終末の足音が聞こえて来るみたい。

これから起こる事を考えると、絶望しか感じない。

でもなんとかしないとと、目まぐるしく対応策を考えている内に、滝島課長もショックから立ち直ったのか、顔を赤くして奏人にくってかかってきた。

「上司になんて口の利き方をするんだ！　お前、無事で済むと思うなよ」

滝島課長も奏人のことをどうこう言えないくらい、かなり酷い口調になっている。

でも今の役所は滝島課長の方が上だし、朝美さんのことが有るから、奏人のほうが不利に違いない。

「女関係でトラブルを起すなんて、どう考えても後継者の資格はないな。」