別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

「何か言いたいことはあるなら言えばいい。今なら君の戯言にも耳を貸すが」

私に暴言を吐かせたいのか、瀧島課長は挑発するように言う。

凄く頭にくる。だけど我慢するしかないとひたすら黙っていたら……。

「ふざけんな」

凄く小声だったけれど、隣から確かにそんな物騒な言葉が聞こえて来た。

奏人?

恐る恐る隣に目を向ければ、怒りに燃えた奏人の顔が視界に入る。

こ、これは……さっき朝美さんに向けていた怒りが、更にパワーアップしている気がする。

自分の怒りはすっかり萎んだ。

怒ってる場合じゃない。
今は奏人を落ち着かせるのが先。

ただでさえ朝美さんの事でまずい立場なのに、これ以上問題行動を起こしたら本当に首になってしまうかもしれない。

とりあえずここは、私は全く気にしていませんよってところをアピールしよう。

多分奏人は私が侮辱されたことで怒っているのだから、先に平和的に話を纏めてしまえば怒りを解くはず。