別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

「会社の近くで様子を伺っていたら、その子が歩いてるのを見つけて、気付けばかっとして追いかけていた……許せなかったから! その子がいなかったら奏人は私の話を聞いてくれるのに」

朝美さんはそう叫びながら、憎憎しげに私を睨む。

その迫力に圧倒されてしまい、おかしな言い分だと思いながらも声が出て来ない。

今までこんな自己中心的な人は見た事が無い。唖然としてしまう。

でも奏人は慣れているのか、私より余裕があるようだ。迷いなく言い返す。

「君とは何度か話し合ったし、話も聞いたけど、全て自分の希望を押し付けるだけの勝手なものだった。それでも何とか話し合いで解決しようと考えていたが、もう無理だな。もう一切直接話さない。今後の取り決めは代理人を入れることにする」

代理人って……弁護士?

奏人がそこまで考えていることに驚いた。

だけど、常識の範囲外の言動をする朝美さんには、それくらいしないと対応出来ないのかもしれない。

朝美さんはショックを受けたのか、わなわなと震えている。

奏人はそんな彼女に追い討ちをかけるように冷たく言った。