別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

話し合いの場は、営業部のフロアにある会議室ではなく、一階エントランスの奥にある防音設備のしっかりとした来客用の部屋だった。

奏人と共に部屋に入りまず目に入ったのは、八人がけのテーブルの上座に座る滝島課長の姿。

それからその斜向かいの席に座る朝美さん。

彼女は先ほどまでヒステリックに騒いでいたとは思えない程、落ち着いた様子で椅子にゆったりと腰掛けていた。

滝島課長と会話をしていた様子はない。

奏人は滝島課長とも朝美さんとも隣にならない場所の椅子を引き、私にそこに座るように言った。

私が座ると、自分もその隣に腰を下ろす。

その座席の位置が気に入らなかったのか、朝美さんが険しい顔をして奏人を睨んだ。


朝美さんが何か言いかけるより早く、滝島課長がガタリと椅子を引き、足を組み直しながら発言した。