別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

「ありがとう。でも勿体なくて使えないかも」

「それじゃあ意味が無いだろ? 毎日つけて」

奏人はそう言いながら、私の後ろに回りネックレスを付けてくれる。

首元で上品に輝くそれは、本当に綺麗で、私は見惚れながら頷いた。

帰りの車中は幸せいっぱい。

ネックレスにそっと触れながら、奏人に言う。

「今日は本当に楽しかった。連れて来てくれてありがとうね」

今までの私達はほとんど自宅近辺で過ごしていて、それはそれで満足していたんだけれど、たまには遠出をするのもいいかもしれない。

と言っても東京から横浜なんて大して距離は無いんだけど。

恋人同士らしいデートはやっぱり楽しい。

「また来ような」

奏人も微笑みながら言う。

彼も今日の一日を幸せに思ってくれてるんだと思う。

「奏人とやり直せてよかった」

そう言うと、奏人は僅かに目を瞠った後、溜息を吐いた。