別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

「今までも何度か接触して来た。今ほど頻繁では無かったけど」

「え……前からなの? どうして教えてくれなかったの?」

「心配かけたくなかった。俺としてはとっくに終った事だから、騒ぎ立てる事もないと思ったんだ」

「でも朝美さんは終ったと思ってないんでしょう? それに奏人も突き放せてないよね。本当に終った事なら、私を帰すより、朝美さんを放っておけば良かったんじゃないの?」

関係を切りたいなら、奏人の態度は逆効果な気がする。

今日だって、朝美さんはきっと、私より自分が優先されたと思ったはず。

奏人に大切にされているって、期待を持ってしまうはずだ。

「そう思って今まで放置して来た。だけど、朝美はレクセルハイツに越して来たって言ってただろ?」

「うん」

「理沙のアパートの近くに越して来たのが偶然とは思えなかった。理沙を巻き込む前に決着をつけようとして朝美の部屋に行ったんだ」

奏人の言葉に私は驚きを隠せない。

わざと私の家の近くに引越して来た? 私を巻き込む?

「そんなに危険な人なの?」

「ああ、異常な程自己中心的な考え方をするから何をするか分からない。以前、俺が仕事で少し関わっただけで何の関係もない女性を攻撃したことがある。理沙には何をするか分からない」

……恐すぎる。