別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

奏人が身体を固くしたのが分かった。

拒否されるのかもしれない。

不安が込み上げるのと同時に、奏人に強く抱きしめられた。

「側にいるよ……理沙が嫌だって言うまでずっと側にいるから」

「奏人……」

安心しても涙が出る。
涙腺が崩壊してしまったみたい。

奏人が私の髪を優しく撫でる。

「ごめんな……俺のせいで辛い思いばっかりさせて」

「ほんとだよ」

奏人が離れていかないと分かった途端に、私はまた責めるようなことを言ってしまう。

だけど、憎くて言ってるんじゃない。

奏人を好きだからこそ、責めてしまう。

「どうしてあの人のところに行っちゃったの? 部屋にも行ったんでしょ? 何をしてたの? 彼女は奏人の何?」

嫉妬し丸出しで次々に質問してしまう。

奏人は少し困った顔をしながらも、私を宥めるように抱き寄せて答える。