別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~

悲しくて仕方無い。

どうして私を選んでくれなかったの?

「本当にごめんな。俺から誘ったのに、あんなことになって」

奏人が心配そうに言う。

だけど、私が聞きたいのはそんな言葉じゃないのに。

「理沙?」

優しく気遣う奏人の声。

コインパーキングで無情に“解散”って言ったときとは大違い。

あの時、彼女の前でも、そうやって優しい態度を見せてくれたら、ここまで辛くならなかったのに。

散々優しくしていたくせに、肝心なところで突き放すなんて、あんまりだ。

「……奏人って本当に酷いよ、また私のこと振り回して」

黙っていられなくなって恨み言を口にする。

「さっきの事を怒っているのなら謝る。あんな態度を取った訳もちゃんと説明もするから」

「説明されても信じられない。奏人は先に約束していた私を追い出して、後から割り込んで来た女性を優先したんだから。私とやり直したいって言ってたのも、本気じゃなかったんでしょ?」

「そんなことない!」

「それならどういうつもり? 奏人が私にしたのは、どうでもいい相手にする態度だったよ?」