別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~



いつの間にか眠ってしまったようだ。

「……真っ暗」

帰って来た途端に泣き崩れていたから、電気を暖房も点いていない。

身体がすっかり冷え切っている。ブルリと身震いした時、床に放り出されたままのスマホが視界に入った。

拾い上げ、画面を確認する。

……凄い、着信。

履歴を見ると、全部奏人から。
十一時過ぎから、数分おきにかかって来ている。

驚いているど、手の中のスマホの画面が切り替わり、奏人からの着信を告げた。

「……はい」


戸惑いながら出ると、奏人らしくない慌てた声が聞こえて来た。

「理沙! 今どこだ?」

「自分の部屋だけど……」

どうして、そんなに焦ってるの?

「本当か? 何度も行ったけど、明かり点いてなかったけど」

「奏人……うちに来たの?」

驚く私に、奏人は落ち着きをとりもどした声で言う。

「あの後直ぐ、理沙のアパートの前を通ったんだけど、明かりが点いてなかったから、どこに行ったのか心配だった。用が済んだ後、何度か電話をしたけど通じなかったから、様子を見に来たんだ」

奏人が私を心配してくれている事は、伝わって来た。

だけど、素直に喜べない。