[璃莉葉side]


「『2両目窓側』っと…♪」



翌日、利夏くんからのLINEを確認して電車に乗り込む。



「あ、利夏くん!」



見慣れた姿を見つけ、人混みを掻き分けて駆け寄る。



「おはよう!」

「はよ…」



利夏くんはいつも通り眠そうな顔。


ほんと朝に弱いんだな…



「利夏くん、昨日はありがとう…!」

「あー…うん…お兄さんに悪いこと言ったね…」

「あ、それは大丈夫!全然気にしてなかったから!それよりあの後ママとお兄ちゃんが利夏くんのこと詳しく教えろーってうるさくて…」



って、そんなことより!



「利夏くん、あのね!あたしもう利夏くん以外の男の子にぎゅーしてもらわない!今日から改めて本気で利夏くんのこと落としにいくから!」

「…あっそ」

「それで…お願いなんだけど、毎日じゃなくていいから、定期的?に、ぎゅーってしてくれないかな…?」

「………」



やっぱりだめだよね…

こんなの絶対めんどくさいし第一利夏くんにメリットがない…



「ごめん、やっぱり今のなし…」

「いいよ」

「え…?きゃッ!?」



利夏くんが身体を反転させて壁に背中をつけ、あたしと向き合った瞬間、大好きな匂いに包まれた。



「ちょっ、利夏くん!ここ電車の中…!」

「場所指定するなら聞いてやらない」

「え…」

「俺がしたい時にするから…文句ある?」

「…ない!」



利夏くんの身体に腕を回し、ぎゅっと力を込めて抱きしめる。



「利夏くん…好き」

「………」