トントン
「……」
トントントン
「ん、……」
トントントントントントン
「なに!?!?」
私は目を勢いよく開けた。
するともう入学式は終わっていて、前のクラスが退場するところだった。
幸い、先生達の誘導の声で大声は掻き消されたみたい。
はぁ、危ない危ない。
そう思いながら新しいくてピカピカの体育館シューズを脱いでいく。
「ふふっ、たくさん寝てたね!」
ん?今私に言った?
そう思い声のした隣の席を見ると知らない女の子が私の方を見て微笑んでいた。
「えっ、あっ、私?は、はは……」
人見知りな私は、微妙な返事しかできなかった。たぶん、微笑んだけどそれはそれは不気味な微笑みだったであろう。
この子が起こしてくれたのかな?
ありがたい。
「前、進んでるよ?」
「わわっ!待って!」
私は走って前の子を追いかけた。