だが、人を盲目にさせる「恋」なんていう魔物の存在は実に厄介で、思考とは関係なく規則的だった私の脈を乱す。
理性とは別に湧き出すそれは、凶器にすら見えるほどで、なんでも理屈っぽい言い訳を並べては正当化しようとし、時に自分を見失わせ、相手の全てがいい方向に見え、後に他人なら気にならないはずの小さな言動や行動にまで敏感になり、どうにもならないどうでもいいことで一喜一憂する。
一番醜い姿になり自分の恥を晒す、見事にみっともなく見苦しい感情だ。