「不安だったよな?…ごめんな」 その言葉に、目に涙が滲む。 藤原先輩は、ちゃんと分かってくれていた。 私が不安がってた事を、ちゃんと分かってくれてた。 「…藤原先輩」 「ん?」 「あの、抱きしめられるのは嬉しいけど、周りの目が…」 そう言うと、サッと離れて周りを見渡す。 さっきから近所のオバサンや、ランニング中のオジサンに恥ずかしい目で見られている。 「ご、ごめん…行くか」 そう言って、当たり前のように繋がれる手。 昨日まで空っぽだった心が、一気に満たされる。