sweet scent





ついに朝が来てしまった。


今日は、藍ちゃんに私の気持ちを伝える。



少し早めに学校についた私は、教室で藍ちゃんを待つ。




「あれ?奈緒ちゃん!今日は早いんだね!」


そう言って、自分の席に荷物を置いて私の元に駆け寄ってくる藍ちゃん。



言うんだ。私も藤原先輩が好きって。



「あのね、藍ちゃん」

「ん?」

「き、今日も可愛いね」



バカなの?!何言ってんの?!

なんで私はいつも肝心な時に言いたい事言えないの?!


「ほんと?ありがとう」



そう言って、にっこり笑う藍ちゃんはものすごく可愛くて、モデルさんみたい。



「奈緒ちゃんも可愛いよ!あ、嘘!奈緒ちゃんは、美人だ」



えへへ、と笑う藍ちゃん。

私、男に生まれ変わったら藍ちゃんと付き合いたい。


って、違う。そうじゃなくて!!


絶対に言う。今、絶対に言う。



「ごめん、違うの。言いたい事は、そんな事じゃないの」

「??」



首を傾げる藍ちゃんに、意を決して伝える。



「…あのね、私も、ふ、藤原先輩が好きなの」



チラッと藍ちゃんを見ると、目に涙を溜めて何回も何回も頷いていた。


…え?




「奈緒ちゃん!やっと言ってくれた!」



うわぁーんと泣き出す藍ちゃんは、私をギューッと抱きしめてくれた。



「あ、藍ちゃん、どういう事?」

「…藍ね。奈緒ちゃんは、春ちゃんの事好きなんだろうなって思ってたの」

「え?!そうなの?!」

「そうだよ!でも、私も春ちゃんを好きだから、ライバルになっちゃうなぁって考えてて…どうせライバルになるなら、お互い良いライバルになりたくてっ」

「うん」

「私が先に気持ちを伝えたら、奈緒ちゃんもきっと、自分の気持ちに気付いて藍に言ってきてくれるって、だからっ」



え、藍ちゃん、めっちゃいい人やん。


性格も良くて顔も良くておっぱい大きくてって、神様は不公平過ぎる!!!




「そ、そっか!ありがとう藍ちゃん」



そう言って、二人で涙を溜めながら抱き合った。