彼にタッチ!!よっしゃあ!でも、もしも・・・無理だったら、あとで一人で残念会をしよう。よし。

 私はそう決心して夕食を作っていたのだった。何と一人残念会の為のコンビニデザートまでも準備した上で。バッチリだぜ、舞台装置は。

 晩ご飯が始まって、私は久しぶりだなあと思いながら、ヤツを相手にベラベラと話す。両家の母親がしたおもしろいこと、呆れること、それから近所のおばあちゃん達に桜が愛想をふること、今日は特売の日で、ベビーカーでスーパーに突撃したこと、夜泣きはマシになってきたけれど、その代わり夕方によく泣くことなどを。

 ヤツは興味なさそうな顔で黙々と肉を平らげていく。野菜も食え、と私は口を止めずに喋りながら菜ばしでヤツのお皿に野菜を突っ込んでいく。

 その全てが、何だか懐かしい感じだった。・・・ああ、そうそう、って。ヤツにほれたのかな、と自覚しだしたあの頃、あの頃も私はこんな風にしていたなあって思い出したのだ。

 反応はないけど拒否もしないダレ男を気にせずに好きなだけ喋り捲って、ヤツのお皿にどんどんおかずを足していっていた。

 うふふ、とつい笑ってしまう。

 そうだった、こんなんだったないつまでも。そう思って笑えたのだった。

 何だ、私ったら、結婚しても母親になってもちっとも変わってないじゃないのって。

 でもきっとこれが、我が家の「心地良いタイミング」なのだろう。