「どうした?」
里香の側まで行って声をかけると、パッと笑顔に花が咲く。
「リュウ〜!!!」
「ん?」
「数学の教科書貸してくれない!?今日忘れちゃったの。」
表情をコロコロ変えながら、里香は俺に手を合わせる。
「里香。」
「ん?なあに?」
「チビ。」
「えっ!?悪口!?」
「ははっ。待ってろ。」
反応に笑いながら、机まで戻って教科書を取り出した。
「ん。」
「ありがとう〜!今日使わない?」
「もう終わった。」
「分かった!じゃあ後で返すね。」
ひらひら手を振る里香を見送り、席に戻る。
ニヤニヤした顔で見てくるのは、さっきまで分かりにくい解説をしてた大野。
「なんだよ。」
「どういう関係ぇ?」
「幼なじみ。」
この手の質問には慣れた。
確かに俺たちのことを、ただの友達と形容するのは無理がある。
ただ、昔から仲が良いねとは言われても、絶対に一緒に住んでるとは言わなかった。
それはお互い暗黙の了解。
あまり面白くなさそうな顔で、数学が苦手らしい楠本が聞いてくる。
「本当に幼なじみ?」
「うん。」
「ホントに?」
「まじ。」
「そ?ならいいんだ。」
何がいいんだ。


