眼鏡とハンバーグと指環と制服と

「……あんただってそうでしょ」

「夏生!」

……嘘つき夏生!
自分が一番、気まずくしてるじゃない!

「ああ、夕葵ちゃん、いいんだ。
ほんとのことだから。
……親父は結局、家庭を顧みないで、働きづめで、過労で死んでしまった。
そんな親父が嫌だった。
あんなふうになるもんか、って思ってた。
けどどうだ?
夏生が生まれて、親父と同じことしかできないんだ。
他のやり方がさっぱりわからない。
幸代も身体が弱かったから、俺が働くしかない、って。
働いて金さえ稼げば、倖せだって思ってた」

「……莫迦だよね、ほんと。
母さんは貧乏でいいから、父さんに傍にいて欲しいっていってたよ」

「……そうか」

「……うん」

「おまえにも悪いことしたと思ってる。
幸代が死んで、急におまえとふたりになると、なにを話していいのかわからな
くて。
怖くて仕事に逃げてた。
本当にすまなかった」

「本当にそう思ってる?」