眼鏡とハンバーグと指環と制服と

私を呼ぶ声に、合わなかった焦点が合っていく。

ひゅーっ。

喉から細く、長く息が抜けていく。
抜け終わると、ゆっくり肺に空気が入ってきて、呼吸が楽になっていった。

「な……つ……き?」

「うん。
僕だよ。
わかる、夕葵?」

「なつき……」

「うん。
僕はここにいるよ。
大丈夫だよ。
夕葵、わかる?」

「なつ……ぅっく」

夏生にぎゅっと抱きついたら、急に涙が溢れてきた。

「いいよ、泣いて。
泣いた方が落ち着くから」

泣きじゃくる私を夏生は痛いくらいに強く抱きしめてる。
その手が震えてることに気が付いたのは、泣き疲れた頃だった。