カルマノオト

大人と子どもの狭間。


大学生って、きっとそういう時期なんだと思う。




成人を迎え、年齢的には大人になっている。


だけど、まだ社会経験が乏しいから、きっと私は子どものままだった。




それでも、やっぱり彼には大人だと思われたい。


中学生のあの頃とは違う、立派に成熟した大人の女だと……――――――




「覚えてますか……?」




思わず顔を上げて彼の目を見つめる。


しかし彼は、唐突に「覚えていますか」と問う私に怪訝そうな視線を向けた。




「……何を?」




「十年前、MOTOさんが塾講師のアルバイトをしていた時の事。」