「ウソだ」


「えー……」



どうして、そう言い切れるのですか。


まさか、唯のことが好きだって、気づかれてる!?


確かに、唯の前でふとした瞬間に好きだと実感することはあるけど、表には出ていないはず。



「なんでいると思うのよ」



そう問うと、先ほどのような不安げな瞳ではなく、真っ直ぐな瞳を向けられた。



「だって、表情がそうだもん。俺、わかるよ?」



何気ない唯の一言に心臓が高鳴って。


それでも自惚れるなと自分に言い聞かせる。



「うん。……いるよ、好きな人」



それだけ。それだけ、教えてあげる。



「あとは、教えないよ」



そう言った時に、ちょうど良く次の授業のチャイムが鳴った。


メモ帳を四つ折りにして自然な流れで自分のペンケースにしまう。


いつか、伝える時が来た時のために。