「らーんっ」



夏の日差しがうっとおしくも感じながら慣れた通学路を歩いていると、肩に誰かの体重が乗っかった。


誰かなんて、声でわかるけどね。



「ちょっと、重いよ。唯」



実際には、唯の両手がわたしの肩に乗っているだけだから全く重くないのだけれど。


要するに、照れ隠しだ。



「今日、英語の小テストだよ。蘭」


「そうだね」



あぁ、わかった。


この顔は、わたしに物を頼むときの顔だ。


眉を下げて、へにょんと笑う。


わたしは唯のそんな顔にとても弱いんだ。



「出るとこ、教えて?」


「……いいよ」



唯は友達が多いし、クラスではいつも誰かしらに囲まれている。


そんな君が、わたしに構うのはなぜ?