家の中に入っても胸がドキドキとしていた。

「どうしよう…
私、もしかして矢川君のことが…」



ふと着信音が鳴り画面をタップし、それに出た。

「あ、天??
大丈夫?ちゃんと矢川君送ってくれた?」

「うん。
今日はありがとうって…」

私の異変に気付いたのか智恵が『どうしたの?』と聞いてきた。


「あのね。矢川君といると凄くドキドキして、苦しくて…でもそれは嫌じゃなくて、むしろ心地よくて。

多分…私、矢川君のことが…」

「やっと気付いたのね。」


そう一言いい沈黙が続いた。

やっと気付いたって智恵は気付いてたの?

「だって、天。
朝矢川君に挨拶されて、私が見たことないような顔になってたしね…」

「え"っ!?」

「恋する乙女の顔してた。」


私、そんな顔してたの?

私は恥ずかしくなり手で頬を覆った。