時がたつのも早くて、矢川君とお友達になって結構な時が流れた。

それから、矢川君と深く関わることもなく、たまに話すぐらいだった。

でも、毎朝矢川君は私の席の横を通り朝の挨拶をしてくれるのがとても嬉しかった。

今日は一学期最後の日、修了式がある。

「天!今日の放課後駅前のケーキ屋さんいこ!」

「あれ、智恵彼氏は?」

「ん?彼氏なんかより友達の天の方が大切だもん!
今日は天と一緒にいたいの!」

えっへん!とでも言うような勢いで私にニタァっと笑う智恵に思わず笑ってしまった。

「ありがとっ!
駅前のケーキ屋さんって新しくできたとこだよね!
行って見たかったんだ!」

「私もなの!楽しみ!」


『俺も混ぜてっ!』と語尾に音符がつく勢いで廊下側の窓から顔を出したのは、聖君。

「え!?聖君どうしたの?」

「悠真に話があってさ!
そしたら天ちゃん達の話が聞こえて。
俺もケーキ屋さん行きたいわ!」

肘を窓枠につけながらニコニコと話す聖君。
相変わらず明るくてムードメーカーだなぁ。


「聖!これ女子の会話だから入ってこないでよ」

智恵が聖君の頭を軽く叩いた。
聖君と知り合いなんだぁ。

「はぁ!?別にいいじゃん!
あのさ、智恵耳貸して」

何故か眼の前でコソコソ話をされている私。
何を話しているんだろう。

『へぇ〜。なるほど。
だから名前知ってたのかぁ。』と顎に手を当てながらフムフムと納得している智恵に私は首をかしげた。

「そういうことなら、いいよ!
天!今日はこいつと一緒にケーキ屋さんね!

天ならイケる!がんば!」

ますます意味が分からず首をかしげた。