「……ご褒美あげなかったらどうなるの?」 こんなことを聞いている時点で、純哉の甘い罠から逃げるのはもう手遅れかもしれないね。 純哉がおかしそうに笑って言った。 「俺が千菜ちゃんに、イタズラしちゃうかもね」 この状況を面白がっているような冗談めいた口調にも聞こえるけど、何やら本気で悪巧みを考えているようにも思える声。 私はそれに誘われるように口を開いた。 ――返事は、二人きりのハロウィンでね。 【おわり】