カボチャ男とハロウィン



すぐそばで絡まる視線に、たちまち私の動きが止まる。

純哉の真っ直ぐな瞳に射ぬかれて、傷付いていた心が甘い膜で覆われる。

純哉に砕かれたそれが、純哉にもたらされるときめきでゆっくりと回復していくみたいだった。

瞬きさえも忘れたように一心に見つめ合う中で、純哉が少し困ったように言葉をこぼす。


「本当にごめんな、イジワルなことして。でも、それぐらい妬いてもらいたいって思ってたんだ。俺も……不安だったから。千菜ちゃんにちゃんと好いてもらってる確証がほしかったんだよ。な? 俺も、十分わがままだろ?」

「そんなことないよ! 私の方がわがままだし……」

「じゃあ、おあいこだね。俺ら、わがままになるぐらいお互いが好きってことで」

「……本当に? 純哉も、私のこと好きでいてくれてるの? 幼馴染みとしてじゃなくて? 無理して付き合ったりしてない?」


付き合い始めた頃から恋心に凝り固まっていた不安の存在が大きすぎて、純哉の言葉を聞いてもなおこうやってしつこく確かめてしまう。

情けない顔をしているであろう私を見て、純哉はそっと頭を撫でてあやすように言った。


「言っただろう? 妬いてもらいたかったって。好きじゃなきゃそんなこと思わないよ」

「でも……」

「俺がどれだけ千菜ちゃんのこと好きだと思ってんの。好きだから千菜ちゃんにこうやって触れたいって思うんだよ」


純哉はイタズラに笑うと、存在を確かめるように私の頬に指先を這わせる。そして静かに顔を傾けながら距離を詰めてきた。