カボチャ男とハロウィン



全身に響く鼓動の音は、一体どちらのものだろう。

純哉もどきどきしてくれていたらいいのにと思いながら、その音に心地良さを感じて目を閉じる。


「……俺、ずっと千菜ちゃんに焼きもち焼いてほしいって思ってたんだ」


突然の告白に驚いて目を開ける。それから純哉の顔を見ようとしたのだけど、しっかり抱き締められているのでそれは叶わない。

逃がさないとでも言うように抱き締めてくる純哉に捕まったまま、すぐそばで聞こえる声に耳を澄ました。


「それで、いつもわざと千菜ちゃんの前で、女子と話したりしてた。友達と遊ぶの優先したら、妬いてくれるかなって期待したりして」

「何……それ。私、ずっと悩んでたんだよ! 付き合ってても友達優先するぐらい、純哉は私のこと彼女と思ってないのかなって、ずっと……!」


さっき謝っているときに、純哉にはすべてを話した。

幼馴染みの延長のような二人の関係や、純哉に好かれていないのかもと悩んでいたこと。純哉のそばにいていつも仲良くしている女の子たちに、嫉妬していたことも全部。

それなのに、それなのに……。

私が気にしていたことが、わざとの行動だったなんて……。


「ひどいよ、純哉……」

「ごめん。さすがにやりすぎたし悪いことしたなって、今はすげー反省してる。千菜ちゃんにつらい思いさせるなんて、間違ってるよな」


そっと身体が離れて、純哉が眉を下げて見上げてくる。そして至近距離にあった純哉の顔が近付いてきて、おもむろに額をくっつけてきた。