自分の面倒くさい性格には、本当に嫌になる。

どうしてあんなことを言ってしまったのだろうと深く後悔して、下校する間に何度ため息を落としたことだろう。


自宅の門扉の前で、グレーのブレザーのポケットに入れていたスマホを取り出す。

通知を知らせるランプは光っていない。それでもわざわざホーム画面を起動して、本当に何一つアイツからの連絡が来ていないかを確認した。

結果、不在着信もメッセージも何一つ残されていなかった。

また一つ、重い息が私の口から吐き出される。その度に少しでもこの憂鬱な気持ちが抜けていってくれればいいのに、むしろ身体の奥に黒くて醜い感情が積まれていくだけ。

そうだと分かっているのに、性懲りもなく消灯したスマホの真っ暗な画面を見てまたため息をこぼすのだから、私もなかなか諦めが悪い。


……何なのさ、アイツ。

私のことなんて、ちっとも気にしてないじゃん。


ほんの2時間ほど前、学校で最後に会ったときにアイツが一瞬だけ見せた悲しげな顔に心のどこかで期待していたけど、それは私の勝手な願望だったんだと思い知らされたような気がした。

どうせ今頃アイツは、真面目くさった私とは正反対な垢抜けた女子グループと一緒に、街中で催されているハロウィンイベントに楽しく参加しているのだろう。

一人で怒って可愛くないことを言った末に、アイツが制止する言葉を無視して立ち去った私のことなど、気にかけて連絡する価値すらないととっくに頭の中から追い出して……。