─────────ここはとある国フェルノシア。




権力や財力はそこそこあるほうの国で、自然豊かかつ毎日市場で国民たちが和気あいあいに暮らし、観光に人気の高い国である。



その国のうちの一つの地域、アンラ地方。



その市場とは離れた自然の豊かな森に、一つの廃城がぽつんと建っていた。




何年も前に廃城となり、あちらこちらに植物が絡みついた屋上だったらしき場所に、一人横になって眠っている者がいた。






『 ……んぅ』



やけに騒がしい声に、彼女は目を覚まし、暫くぼーっと目線を彷徨わせる。



そして少し経ったところで静かに起き上がり、上から様子を伺う。



『 ……誰?……あれは 』


かなり小さな声で驚きの言葉を発すると、彼女は素早く小型ナイフを手に取る。



目下に広がっていた光景とは────