「化け狐の噂は耳にした事はありましょうか?」
中学校からの帰り道、公園の前を通ると、狐の面を被る女の人が話し掛けてきた。
「化け狐なんてこの世になんかいるわけない。迷信よ迷信」
私は、馬鹿馬鹿しく女の人に言った。
「そうですか。私はそうとは思いませんがね」
「あなたがどう思おうが私には関係はありません。人それぞれの価値観ではありませんか?」
私は帰る方向に体を向けていたが、女の人に体を向けた。
「ご最もですわー」
鼻で笑うかのように笑って言った。
「失礼してもいいでしょうか?」
「そういわずに聞きませんか?化け狐のあはれな噂話を」
「聞いてる暇は無いです」
「…残念ですね。化け狐の噂は皆知っているのですが。明日学校に行って友人に聞いてみなさい。そして興味を示す時私はここでお待ちしておりますよ」
「…」
私はそんな話を聞き流し歩き始めた。