VOICE



やっぱり!!

そこには前に見たのと同じ光景。
壁に寄りかかって蹴られる少年と、それを笑って見てる奴ら。

「あいつら!!」

私が彼らに声をかけようとしたその時、気になる言葉を一人が口にした。

「サワグチさぁ、お前さっさと学校やめろよ!お前の顔見てっと気分わりぃんだよなぁ」

そう言って背の高い男子が壁に寄りかかって俯いてる子の鳩尾に蹴りを入れた。

「ぅ……っっ!」

お腹を押さえ、しゃがみこむ彼の顔。
チラリと見えた。

サワグチ!?サワグチって……。

「まさか、だよね?」

私はイジメられている男子生徒の顔を凝視する。

あの顔……?!マジで!?

私はびっくりしてその場を動けないでいた。
目の前わずか10メートル。

そこにいるのは確かに沢口登。

いつも路上ライブで見る女装したゴスロリの格好じゃないけど、よく見たら分かる。
あの子だ。

この学校の生徒だったんだ。

正直、私の頭は混乱してた。

今いじめられてるのは沢口登で、いつもライブでニコニコ笑ってたのも沢口登。私に嫌がらせしてたのも彼で……。
助けたい。けど、けど、彼は住谷あさこに嫌がらせをけしかけた張本人で……。私たちに嘘ついてて……。

「あぁ~っ!もう!!」

私はその場に荷物を放り出し、彼をいじめてる奴らに近づいて行った。