「ちょっと大丈夫?歌夜……」
黙り込んだ私を心配した葵に小さく頷いた私。小さく大丈夫、と声に出してから深めの深呼吸を一つ。
「うぁ~っ、くっそ~!今度会ったらただじゃおかない!ホントかどうか確かめてやる!!」
「え……あんた、落ち込んでたんじゃないの?」
拳を握りしめて怒りの声をあげた私に、呆れ顔の葵は肩をすくめた。
「落ち込んでる!けどそれ以上に激しく怒ってんの!有り得ないよ、許さんっ!」
「あ、そぅなんだ……」
ポカンとした顔の葵をよそに、私の頭の中はあのゴスロリ姿をした登のことでいっぱいだった。
そして、少し怒りのおさまった放課後。
私はいつも通り、海斗の家に行くため裏門へ向かっていた。
今日は多分、珪甫も来てるはず!
新しいドラマーのことで頭いっぱいになりながら、早足で歩く私の耳にいつかと同じような物音が届いた。
ドカッ!
ドカッ!
「……なに?」
なんか、やな予感するなぁ……。
前もこんなことなかったか?
そんなことを思いながら音のした校舎の裏をそっと覗いた。



