その内容はこうだった。
『昨日は本当にごめんなさい。ハサミで切りつけようなんて、マジでヤバいよね。
反省してます。
ところで、私がコーヒーやハサミでの嫌がらせを考えたんじゃないんだ。ある子にそそのかされた、っていうか。
いつも路上ライブに来てるファンの中にいるんだ。その子。
いつもゴスロリの格好してる子。
わかる?あの子、歌夜のファンだなんて言ってるけど嘘だよ!信じないで!』
「歌夜!ハサミって何?!聞いてないよ!?」
葵が私の肩を掴んで揺らす。昨日の今日だから、まだ話してなかったんだ。
でも……今の私にはそれに答えられる余裕はなかった。
戸惑い、怒り、失望、……色んな感情がぐるぐると体中を駆け巡って、動けないでいた。
ゴスロリの服を着た、沢口登の顔が浮かんできた。はにかんだように笑う顔からは、そんなことするようには見えなかったのに……。
何かの間違いだよね?
私は唇を噛んだ。



