私と海斗は一瞬、目を合わせてしまった。きっと海斗も同じこと思ったんだろう。

珪甫はしばらく俯いて自分の親指の爪を噛んでた。
考え込む時の癖なのかもしんない。

「ねぇ……ホントにあの子のドラム、良いの?」

私は囁き声で海斗に聞いてみる。

「さぁ……俺気付かなかった。紅志のやつ、耳が良いんだよな……」

「そうなんだ……てか、海斗はいいの?あの珪甫って子メンバーに入れても」

小声で話し続ける私達の視線の先には相変わらず俯いたままの珪甫。

すると海斗はニッと笑って言った。

「その点は、俺はアイツを信用してっから。紅志の耳は確かだしね」

パチリとウインクひとつ。

……やっぱりこの二人の信頼関係は半端じゃないみたい。
羨ましい……。

そんな私達の会話が終わる頃、俯いて考えてた珪甫がゆっくり顔を上げた。