「え?解散!?」
「そう。解散ですが、何か?」
驚いた私に、おどけた顔で軽く返してくる彼は、後ろで片付けしてるメンバーを顎で示して話す。
「いや、俺達4人の中で俺とベースの奴は普通に働いてんだよ。趣味でやってたみたいなもんでさ。だけどギターの奴が他バンドから誘われててね」
クイッとギタリストの方を指差して苦笑い。
「あいつはプロ目指してっからさ、そっちに行くわけ。だから俺達は解散」
そうなんだ。
私は少しだけ意外だった。バンドやってる人達って、もっと音楽一筋かと思ってた。
働いててもこうやってライブやってる人、いるんだ。
新しい発見だった。
私がそんな考えに耽ってるとき、私の左側に静かに立ってた紅志が口を開いた。
「あの……じゃあドラマーは?」
そうだ!さっき紅志がドラムが良かったとか言ってたんだった。
私は、ライブ前の紅志の言葉を思い出した。
「あぁ、珪甫(ケイスケ)?あいつはどうすんのかな……まだあいつ高校生でさ、とりあえずは真面目に学生やるんだろうな」
高校生?私と一緒じゃん!
わぁ~、なんか親近感が湧く!
なんて嬉しくなった私は、珪甫って呼ばれたドラマーの方へ視線を向けた。
け、ど。



