VOICE



私はがっくりと肩を落として恨めしげに海斗を見上げた。

「それ、ライブの前に言ってよ~!今日の私、全然ダメだった~」

私がしょんぼりして呟くともう一度海斗が私の頭にポンと軽く触れた。

「確かにな、今日の歌夜の音は良くなかった。まあ?かわりにそのスカートチラッと上げときゃみんなクラッときちゃうんじゃね?」

海斗がニッと悪戯っ子のような顔して私のスカートをピラッとつまんだ。

………こんのバカヤローは!

私は拳を握りしめて。

バシッ!!

「あれ?」

私の手、まだ海斗を殴ってないぞ?

と思ったら。

「いってぇ!おまっ、本気でやるなよ紅志!」

私より先に紅志が海斗の後頭部を平手打ちしていた。
なんで?!

「バカかお前は。客はほとんど女ばっかだろ!歌夜がスカート上げてどうすんだよ!やるならお前がやれ!」

紅志が静かだけど強い調子で海斗に言った。
でも……。

「岡崎さん……海斗がスカートはいたら軽く犯罪っすよ」

え?って顔で私を見た紅志。すぐにその綺麗な顔を歪めた。

「やべぇ、想像したら……リバースしそうだ」

「私も」

つられて想像した私。
ひらひらのミニスカートはいて?チラッとスカート捲ってウインクする海斗……なんでウインク?!

おぉ、キモい!

「お前ら、想像で俺を弄ぶな……」

海斗が呆れ顔してる。

いや、その弄ぶなって、その言葉もおかしい……。