VOICE



「ごめんなさい」

即座に頭を下げて謝っていた。当然目の前の彼女はポカンとしながら私のことを見てる。

いや、もうホントに単純に申し訳ないって思ったから。

「な、なにいきなり謝ってんの?!」

驚いて戸惑う彼女、私は真っ直ぐにその子の目を見て言った。

「私が下手だっていうのはすごく分かってるんだ。こんな私がいきなりメンバーに入っちゃってさ、しかも女だし?みんながムカつくの、すごく分かる」

私だって同じファンの立場ならきっとそう思うから。

その時、私の頭にフワリ、柔らかい手の感触。
紅志の手のひらだった。

そして驚いてる私の隣でゆっくり口を開いて、その低い声でしゃべりだした。

「こいつは、さ。遊びで俺らと一緒にバンドやってるわけじゃないんだ。ベースだってまだ下手くそかもしんねーけど、毎日練習して、上手くなるように努力してんだ」

一度言葉を切った紅志は、に、と笑った。
優しい笑顔。

「それにさ、聴いてて思わない?こいつの出す音は下手だけど、なんか、惹かれるものがあるんだ。どう?」

紅志が真っ赤になってる女の子に問いかけると、彼女は少しだけ目を丸くしてから小さく答えた。

「はい。悔しいけど、この子のベースの音、嫌いじゃないです」

え?!

私は驚いて声を上げそうになりながらも、口をぽかんと開けたまま彼女の顔を見つめる。
そしたら彼女、私の顔をキッと睨んで、また口を開いた。

「だから!だから余計にムカつくの!悔しくて、羨ましくて。私があんたの代わりにメンバーになれたら、って。どうしてもひがんじゃうの!!」

すごい勢いでまくし立てられた。