しまいには笑いすぎてヒィヒィ言い出した海斗、その頭をペシッと紅志は叩いた。

「おまえいい加減にしろ、バカ」

彼は言葉ほど怒っているわけではなさそうだった。その口元が少し笑みを浮かべていたから。
叩かれた海斗は、唇を尖らせて顔を上げた。
目が涙で潤んでる。

「いったいなぁ紅志!もっと優しくしてよぉ~」

「ふざけんな気持ちわりぃ!」

ボコッ。

またもや頭に拳を落とされた海斗は、泣き真似をしながらも私の方を見た。

「酷いよね、コイツ。でも俺の声が大好きなんだって」

「だっから恥ずかしいこと言うなバカッ!」

またまた飛んできた拳を今度は器用に避けた海斗は、私にニコッと笑いながら言った。
とんでもない一言を。

「じゃあさ、歌夜ちゃん。キミはベースに決定!ね!」

「な、ちょっ……」

ね!……て何ですか?