VOICE



私が真っ赤になりながら海斗を睨んでると、後ろから小さな声が聞こえた。

「え?……あっ!」

声のした方を見れば、そこには。

「ゴスロリくんじゃん!」

私より先に海斗が声をあげた。以前、握手をした時のように上から下まで黒で決められたゴシックロリータファッション。

雑誌から出てきたみたいに完璧。可愛い。

「もしかして、ライブ観てくれてた?!」

私が立ち上がって、近寄って行くと、俯いた顔をさらに下へコクンと動かした。

首が落ちちゃうよ。
なんて思ったけど、それよりも!

ガシッとゴスロリくんの両肩を掴んで、ガクガクと揺らした。

「嬉しい~!ありがと~っっ!」

「いえ、あの……っうわっ!?」

嬉しくて思わず私は抱きついてた。

わざわざ私たちのためにライブハウスにまで来てくれるなんて!

しばらくそのまま抱きついてた私の肩を、誰かがトントンと叩いた。

なに?今すごく感激してるのにっ!

「歌~夜、周り見て、周り」

海斗の呆れた声に、私はキョロキョロと辺りを見回した。

おっと……すごく注目の的だ。

やばっ!と慌てて抱きついてた腕を素早く戻した。

「ごめん!なんか嬉しくて思わずっ!」

「あ、いや、はい大丈夫です」

目の前の真っ赤になった彼の顔を見て私の胸がズキュ~ン!

か、可愛いっ!

妹にしたい!

男だけどさ!