「……へ?」
私が間抜けな顔でポカンとしてると、今度は隣で静かに煙草を吸ってた紅志が口を開いた。
「楽器、何ができるの?」
低い声。
ふっと吐き出した煙草の煙が風で私の方へ漂った。
あ、この匂い好きかも……。
なんて言ってる場合じゃないし!
私は慌てて二人の問いに答えようとした。けど。
「や……なんもできません……はい」
数秒間の沈黙が3人の間に流れた。
かと思ったら、目の前の海斗が急に小刻みに震えだした。
え?え?怒ってる?!怒っちゃった?!
私が恐る恐る声をかけようとしたその瞬間。
「ぷっ!あっはははっ、やっぱり面白すぎだよキミ!」
えぇ~!腹抱えて笑ってるこの人。なんか、さっきの歌ってる時のイメージと全然違う。
外見とは全く違うその性格に私は驚いた。
かっこいいと見とれてしまった自分が悲しくなった。少しだけ。



