VOICE



ライブハウス“ORANGE DOTS”
収容人数150~200人程の小さなハコ。

その舞台裏、私はこっそりとステージの袖から顔を覗かせてみた。

うわ……結構入ってるんだ。

フロアにはガヤガヤと騒がしい雰囲気でオーディエンスが、お喋りしたりドリンクを飲んだりしている。

もちろん客の目当ては私たちPRISONERじゃない。紅志の知り合いのバンド“BLACK NOISE”がメインらしいんだけど。

ブラック……?聞いたことないや。

そんなこと思いながら控え室へ戻ろうとした時。

ポンと肩に手を置かれた。

「驚いたな~岡崎のバンドに女がいるなんて。なに、あんたアイツの女?」

「な……!?」

いきなりなんて失礼なヤツ!

見れば金髪に黒のメッシュを入れた頭の男が私の肩を触ってニヤニヤ笑ってた。
その触り方が気持ち悪くて鳥肌が立つ。

「なんですか?やめてください。私は岡崎さんの彼女なんかじゃありません!」

パシッと肩に置かれた手を払いのける。
すると今度は無理やり腰に手を回された。
グイッと強い力で引き寄せられて切れ長の目が迫る。

逃げられない。

やだっ!!

スッと息を吸い込んで大声を出そうとした、その瞬間。