ガチャ。
私の後ろでドアの開く音。なんの心の準備もなく反射的に振り返った私の目に。
「ぬぉっ!!て、帝王が来たっ!!」
海斗と同じ上下黒で決めた紅志が立ってた。
少し違うのはシルクのような光沢のある黒の細いネクタイ、そして相変わらずのハット。今日は黒い中折れ帽を被ってる。
「帝王って……」
呆れた声で呟く紅志を目の前に、私は両手を合わせて見惚れていた。
「夜の帝王?!いや……マフィア?」
「海斗、コイツ、大丈夫か?」
私を指差す紅志に、海斗が背後から返事をした。
「さあ………?」
大丈夫なのか?ライブは!?



