それでも。 鋭く、胸を突くような紅志の音は、そこにあった。 ――平気。紅志なら大丈夫だよ。 一瞬、海斗のそんな声が聞こえたような気がして、その横顔を見詰めた。 伸びる海斗の歌声は、もう完璧にオーディエンスを虜にしていた。 ギュウギュウに詰まってる前列の女の子たち、前には出てこないけど、後ろで真剣な顔してジッと演奏を見ている男の子たち……。 みんなの瞳が、耳が、私達を見て、聴いていた。 うん!気持ちいい! そう、感じた。